〇〇マフィアとは?意味・語源・生まれる条件
〇〇マフィアとは、同じ企業に同じ時期に在籍した人々が、退職後にそれぞれ起業・投資で活躍しながら、互いに出資・採用・助言しあう人的ネットワークを指すビジネス界の通称である。「PayPalマフィア」が代表例。
語源:2007年の「PayPalマフィア」
この呼び名が広まったきっかけは、2007年11月に米経済誌Fortuneが掲載した特集「The PayPal Mafia」です。PayPalの元社員13人が、マフィアドラマを意識した服装でサンフランシスコのバーに集まった写真が話題になりました。
PayPalは2002年にeBayに買収されましたが、その後わずか数年のうちに、元社員たちがYouTube、LinkedIn、Yelp、Tesla、SpaceX、Palantirなどを創業・出資していました。互いに出資し、採用し、助言しあうその結束の強さが「マフィア」にたとえられたのです。
〇〇マフィアが生まれる4つの条件
PayPalをはじめとする事例を比べると、出身者ネットワークが生まれやすい企業には共通点が見られます。
- 同じ時期に、密度の高い人材が集まっている:創業期や急成長期に、似た価値観を持つ優秀な人材が少人数で集まっている。
- 困難な局面を共に乗り越えている:競合との争いや資金難などの修羅場を共有し、互いの実力を知っている。
- 退職後に挑戦できる資金と経験がある:株式公開や売却、ストックオプションなどで、次の挑戦の元手と経営経験を得ている。
- 出身者どうしが出資・採用で結びつく:独立後も、先に成功した仲間が後に続く仲間の会社に出資し、幹部として迎え入れる循環がある。
掲載中の〇〇マフィア
- アリババマフィア — アリババ出身者が滴滴出行・美団など有力企業を創業し、投資家としても存在感を示す中国最大級の企業人脈。
- Amazonマフィア — Amazon出身者が興したスタートアップ群と、出資・人脈で結びつくアラムナイのネットワーク。
- Appleマフィア — Apple創業者や歴代幹部がBe Inc.、Nest Labs、General Magic、LoveFromなどを興した起業家ネットワーク。
- 百度系(バイドゥ系) — 百度出身のAI・自動運転人材が興したスタートアップ群「百度系」を、経歴と出典で追ったネットワーク。
- サイバーエージェントマフィア — 藤田晋が1998年に創業したサイバーエージェントの出身者が、起業やVC設立を通じて築いたネットワーク。
- DeNAマフィア — ミラティブ、SHOWROOM、アカツキ、食べチョクなどを生んだ、DeNA出身の起業家・経営者のネットワーク。
- eBayマフィア — eBay出身の経営陣が退社後に起業・投資で活躍した人脈。呼称としての定着度はPayPalマフィアに及ばない。
- Googleマフィア — Instagram、Pinterest、FriendFeedなどの創業者を輩出したGoogle出身者の集団。Google共同創業者も含む。
- ヒューレット・パッカード(HP)マフィア — HPで育った人材がSGIやノベル、マイクロソフト、VC業界のトップへ広がっていった出身者ネットワーク。
- 華為系(Huawei系) — ファーウェイ出身者が興した企業群。定着文化ゆえアリババ系等より事例は少ないが、李一男らの起業で知られる。
- Facebook(Meta)マフィア — Quora、Asana、Path、Social Capitalなどの創業者を輩出したFacebook初期メンバーの人脈。
- Microsoftマフィア — マイクロソフト出身の幹部・エンジニアが、財団・VC・新会社の設立を通じて世界に影響を広げてきた大規模な卒業生ネットワーク。
- OpenAIマフィア — Anthropic、SSI、Thinking Machines Lab、Perplexityなどの創業者を輩出したOpenAI出身者の集団。
- PayPalマフィア — Tesla、LinkedIn、YouTube、Yelp、Palantirを生んだ、シリコンバレーを代表する出身者ネットワーク。
- リクルートマフィア — リクルート出身の起業家・経営者のネットワーク。インテリジェンス、マクロミル、LIFULLなどを生んだ。
- Stripeマフィア — 決済インフラ企業Stripeの創業者・出身者が退職後に多数のスタートアップを興し、相互に投資し合う起業家ネットワーク。
- テンセント系(腾讯系) — 深圳発のテンセント共同創業者と元幹部社員が、証券・映画・投資など幅広い分野で起業家に転じた人脈のネットワーク。
- Y Combinatorマフィア — Y Combinatorの共同創業者・歴代パートナーが築く起業家・投資家ネットワーク。自らも起業経験を持つ支援者が次の起業家を生む。
よくある質問
〇〇マフィアの「マフィア」は悪い意味ですか?
犯罪組織を指すものではありません。結束が固く、仲間どうしで助け合うネットワークであることを、比喩的・ユーモラスに表現した呼び名です。
〇〇マフィアの語源は?
2007年11月に米経済誌Fortuneが掲載した特集「The PayPal Mafia」が広く知られるきっかけになりました。以降、Google、Facebook、OpenAIなど他の企業の出身者ネットワークにも使われるようになりました。
日本にも〇〇マフィアはありますか?
日本では「〇〇出身の起業家」という言い方が一般的ですが、スタートアップ系メディアを中心に「リクルートマフィア」「DeNAマフィア」「サイバーエージェントマフィア」といった呼び名も使われています。中国では「阿里系」のように企業名+「系」で出身者を指す言い方があります。当サイトではこれらのネットワークも掲載しています。
アルムナイ(企業OB・OGネットワーク)との違いは?
アルムナイは企業の退職者全般のつながりを指し、企業側が公式に運営することもあります。〇〇マフィアは、そのうち起業や投資で目立った成果を上げ、互いに支え合うことで注目される一群を指す点が異なります。
出典
- Fortune「The PayPal Mafia」(2007年11月) — https://money.cnn.com/2007/11/13/magazines/fortune/paypal_mafia.fortune/
- Wikipedia「PayPal Mafia」 — https://en.wikipedia.org/wiki/PayPal_Mafia