米国最終更新 2026-09-30

スペースXマフィアとは?メンバー一覧・輩出企業・関連書籍

別表記:SpaceXマフィア/SpaceX Mafia/SpaceXアルムナイ/SpaceX出身起業家

スペースXマフィアとは、宇宙企業SpaceXに在籍したエンジニアや幹部が、退職後に宇宙・防衛・エネルギーなどの分野で相次いで起業した集団を指す通称である。

スペースXマフィアの主なメンバー一覧

スペースXに2002〜現在の間に在籍し、その後に起業・投資で実績を残した主な人物です。在籍時の役職と、その後の主な創業・経歴を並べています。

氏名スペースXでの役職・在籍その後の主な創業・経歴
イーロン・マスクElon Musk
創業者・CEO2002年〜現在
テスラ(会長(2004〜2018年)・CEO(2008年〜))、OpenAI(共同創業者・取締役)、ニューラリンク(共同創業者)、xAI(創業者)、米国連邦政府(大統領上級顧問(政府効率化省=DOGE))
ジョーダン・ヌーンJordan Noone
推進系開発エンジニア(Dragon担当)2014〜2015年
レラティビティ・スペース(共同創業者・CTO)、エンベデッド・ベンチャーズ(共同創業者・ジェネラルパートナー)
ブレント・アルタンBulent Altan
アビオニクス・航法誘導制御(GNC)担当副社長2004〜2014年
衛星ミッション保証担当副社長(Starlink)2016〜2017年
マイナリック(CEO)、アルパイン・スペース・ベンチャーズ(共同創業者・創業パートナー)
ダグ・ベルナウアーDoug Bernauer
研究開発エンジニア2007〜2019年
ラディアント・ニュークリア(共同創業者・CEO)
ハリー・オハンリーHarry O'Hanley
Falcon 9第1段担当エンジニア2013〜2017年
ロングウォール(共同創業者・CEO(ABL Space Systems時代))
ジム・キャントレルJim Cantrell
創業メンバー・初代事業開発担当副社長2002年
ファントム・スペース(共同創業者・CEO)
ローラ・クラブツリーLaura Crabtree
シニア・ミッション運用エンジニア(Dragon運用)2009〜2021年
イプシロン3(共同創業者・CEO)
マット・ソウルMatt Soule
アビオニクス部門責任者2006〜2019年
パラレル・システムズ(共同創業者・CEO)
ロバート・ローズRobert Rose
飛行ソフトウェア担当ディレクター2009〜2014年
テスラ(Autopilot開発責任者)、Google(X(旧Google X)でのロボティクス関連チームのリーダー)、リライアブル・ロボティクス(共同創業者・CEO)
トム・マルクシックTom Markusic
テキサス試験場ディレクター・主任推進系エンジニア2002〜2006年
ファイアフライ・エアロスペース(創業者・CEO)
トム・ミューラーTom Mueller
創業メンバー・推進系担当副社長/推進系CTO2002〜2020年
インパルス・スペース(創業者・CEO)
ウィル・ブルーイーWill Bruey
アビオニクス担当エンジニア(Falcon 9・Dragon)2012〜2018年
ヴァルダ・スペース・インダストリーズ(共同創業者・CEO)

スペースXマフィアが生んだ企業

メンバーがスペースXを離れた後に創業(共同創業を含む)した企業です。

企業設立創業に関わったメンバー
テスラ電気自動車と蓄電池のメーカー。2003年イーロン・マスク
ファイアフライ・エアロスペース小型ロケットAlphaや月着陸船Blue Ghostを開発する宇宙企業。2025年8月にNasdaqへ上場した。2014年トム・マルクシック
OpenAIChatGPTを開発するAI研究・開発企業。2015年に非営利団体として設立された。2015年イーロン・マスク
レラティビティ・スペース金属3Dプリンターを活用してロケットを開発・製造する宇宙企業。2025年に元Google CEOのエリック・シュミットがCEOに就任した。2015年ジョーダン・ヌーン
ニューラリンク脳に埋め込むブレイン・コンピューター・インターフェースの開発企業。2016年イーロン・マスク
ロングウォール小型ロケットRS1を開発したABL Space Systemsを前身とし、2025年に社名を変更して防衛向け事業に転換した航空宇宙企業。2017年ハリー・オハンリー
リライアブル・ロボティクス既存の航空機を遠隔操縦・自動操縦化するシステムを開発する航空自動化企業。2017年ロバート・ローズ
ファントム・スペース小型ロケットの量産と衛星事業を組み合わせた宇宙輸送サービスを目指すアリゾナ州の宇宙企業。2019年ジム・キャントレル
エンベデッド・ベンチャーズ宇宙・防衛の両用(デュアルユース)技術を持つスタートアップに投資するベンチャーキャピタル。2020年ジョーダン・ヌーン
アルパイン・スペース・ベンチャーズ宇宙関連スタートアップのシード・シリーズA段階に投資するミュンヘンのベンチャーキャピタル。2020年ブレント・アルタン
ラディアント・ニュークリア輸送用コンテナに収まる可搬型の小型原子炉(マイクロリアクター)を開発する企業。2020年ダグ・ベルナウアー
パラレル・システムズ既存の線路上を自律走行するバッテリー式の電動貨物鉄道車両を開発する企業。2020年マット・ソウル
ヴァルダ・スペース・インダストリーズ無重力環境を利用して医薬品などを軌道上で製造し、カプセルで地上に回収する宇宙製造企業。2020年ウィル・ブルーイー
イプシロン3宇宙機の打ち上げや試験の手順書・運用管理をデジタル化するソフトウェアを提供する企業。2021年ローラ・クラブツリー
インパルス・スペース衛星や貨物を軌道間で運ぶ軌道上輸送機(スペースタグ)とロケットエンジンを開発する宇宙企業。2021年トム・ミューラー
xAI対話AI「Grok」を開発するAI企業。2023年イーロン・マスク

成り立ち

SpaceXは2002年、イーロン・マスクがロケットの打ち上げ費用を大幅に下げることを目標に、カリフォルニア州エルセグンドで創業した宇宙企業である。創業期にはTRW出身のエンジン技術者トム・ミューラーらが加わり、少人数のチームで小型ロケットFalcon 1の開発に取り組んだ。2008年にFalcon 1が民間開発の液体燃料ロケットとして初めて軌道に到達した後は、Falcon 9、宇宙船Dragon、衛星通信Starlink、大型ロケットStarshipへと事業を広げ、従業員数は数百人規模から数千人規模へと拡大した。

急拡大の過程で、SpaceXは若手技術者に早くから大きな責任を任せる組織として知られるようになった。大学を出て数年のエンジニアがエンジンや航法電子機器(アビオニクス)、ミッション運用の中核を担い、設計から製造、試験、打ち上げまでを短い周期で繰り返す経験を積んだ。こうした人材の一部が、在籍中に得た技術と人脈を元手に、2010年代半ば以降、次々と自分の会社を興すようになった。

なぜSpaceXから起業家が生まれるのか

第一の要因は、ハードウェアを内製し量産する経験である。SpaceXはエンジンや電子機器の多くを社内で設計・製造しており、出身者は部品の選定から工場の立ち上げまでを一通り経験している。第二に、SpaceXによる打ち上げ費用の低下そのものが、新しい市場を生んだ。軌道上輸送機のImpulse Space、宇宙製造のVarda Space Industries、打ち上げ運用ソフトウェアのEpsilon3のように、安価で頻繁な打ち上げを前提とした事業が成り立つようになった。第三に、宇宙で培った手法は地上の産業にも応用できる。電動鉄道車両のParallel Systems、小型原子炉のRadiant Nuclear、無人貨物機のReliable Roboticsは、いずれもSpaceXのアビオニクスやソフトウェア部門の出身者が創業した企業である。

Forbesは2026年1月、SpaceX出身者が創業したスタートアップが過去10年で合計106億ドル(推計)を調達したと報じ、Fast Companyも400人を超える出身創業者のデータベースを公開している(いずれも各誌の集計)。

代表的な出身者どうしのつながり

Relativity Spaceのジョーダン・ヌーンは、SpaceXでDragonの推進系を担当した後、2015年に3Dプリンターでロケットを製造する同社を共同創業し、のちに宇宙分野に投資するEmbedded Venturesを設立して後進の起業家を支援している。創業期からの推進系責任者だったトム・ミューラーは、SpaceXを退いた翌年の2021年にImpulse Spaceを創業した。アビオニクスやソフトウェアなど電子系の部門からは、ブレント・アルタン(Mynaric、Alpine Space Ventures)、ロバート・ローズ(Reliable Robotics)、マット・ソウル(Parallel Systems)、ダグ・ベルナウアー(Radiant Nuclear)らが独立しており、同じ部署の出身者が異なる産業に散らばっている点も、このネットワークの特徴である。

スペースXマフィアを知るための本

イーロン・マスク 上

ウォルター・アイザックソン 著/井口耕二 訳/文藝春秋(2023年)

『スティーブ・ジョブズ』の著者ウォルター・アイザックソンによる公式伝記の上巻。SpaceX創業期のロケット開発や、初期の技術者たちとのやりとりが描かれている。

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イーロン・マスク 未来を創る男

アシュリー・バンス 著/斎藤栄一郎 訳/講談社(2015年)

テクノロジー記者のアシュリー・バンスが、マスク本人や関係者への取材をもとに、PayPalからSpaceX、Teslaまでの歩みを描いた評伝。SpaceX創業期の開発現場や初期メンバーの様子が詳しく描かれている。

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よくある質問

スペースXマフィアの主なメンバーは?

Impulse Space創業者のトム・ミューラー、Relativity Space共同創業者のジョーダン・ヌーン、Firefly Aerospace創業者のトム・マルクシック、Varda Space Industries共同創業者のウィル・ブルーイー、Parallel Systems創業者のマット・ソウルなど、SpaceXでエンジンやアビオニクス、運用を担った技術者が多く含まれる。

なぜSpaceX出身者から起業家が多く生まれるのか?

少人数で短期間にロケットを設計・製造・試験するSpaceXの開発体制のもとで、若手技術者が早くから大きな責任を担い、ハードウェアを量産する経験を積めることが挙げられる。加えて、同社の打ち上げ費用の低下により、衛星や宇宙輸送の新規事業が成り立ちやすくなったことも背景にある。

出身者が創業した企業は宇宙分野だけか?

宇宙分野が中心だが、それだけではない。自律走行する電動鉄道車両のParallel Systems、小型原子炉のRadiant Nuclear、無人貨物機のReliable Roboticsなど、SpaceXで培った設計・製造手法を地上の産業に持ち込む企業も生まれている。

「SpaceXマフィア」という呼び方は一般的か?

PayPalマフィアほど定着した呼称ではない。2023年頃の業界誌は「SpaceX出身者(alums)」と表現するのが一般的で、「SpaceX mafia」の語が目立って使われるようになったのは、SpaceXの株式上場が話題となった2026年前後のFast CompanyやThe Informationなどの記事からである。

メンバーの人物ページ

出典

  1. SpaceX just went public. These alum-founded startups are following its playbook (Fast Company) — https://www.fastcompany.com/91558857/spacex-mafia-just-getting-started
  2. From The School Of Elon Musk To Billion-Dollar Startups: Meet SpaceX's Alumni Founders (Forbes, 2026-01-05) — https://www.forbes.com/sites/aliciapark/2026/01/05/from-the-school-of-elon-musk-to-billion-dollar-startups-meet-spacexs-alumni-founders/
  3. How SpaceX Alums Are Branching Out and Shaping the Startup Economy (Via Satellite, 2023) — https://www.satellitetoday.com/business/2023/03/28/how-spacex-alums-are-branching-out-and-shaping-the-startup-economy/
  4. The SpaceX Impact: Companies formed by former Elon Musk employees (Fast Company South Africa) — https://fastcompany.co.za/impact/2026-06-14-the-spacex-impact-companies-formed-by-former-elon-musk-employees/
  5. SpaceX - Wikipedia — https://en.wikipedia.org/wiki/SpaceX
  6. https://en.wikipedia.org/wiki/Elon_Musk
  7. https://en.wikipedia.org/wiki/Jordan_Noone
  8. https://techsummit.olemiss.edu/team/jordan-noone
  9. https://en.wikipedia.org/wiki/Bulent_Altan
  10. https://research.contrary.com/company/radiant
  11. https://www.shoreschool.org/news-detail?pk=1017183
  12. https://creativedestructionlab.com/mentors/harry-ohanley/
  13. https://en.wikipedia.org/wiki/Jim_Cantrell
  14. https://whatgotyouthere.com/?p=13228
  15. https://www.epsilon3.io/laura-crabtree
  16. https://www.nbcmiami.com/news/business/money-report/three-former-spacex-engineers-are-designing-self-powered-electric-freight-train-cars/2664344/
  17. https://9to5google.com/guides/robert-rose/
  18. https://www.aia-aerospace.org/?p=22697
  19. https://ukrinform.net/rubric-society/2658732-tom-markusic-ceo-of-firefly-aerospace.html
  20. https://2020.smallsatshow.com/speakers/dr-tom-markusic/
  21. https://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Mueller
  22. https://en.wikipedia.org/wiki/Will_Bruey
  23. https://www.spacesymposium.org/speaker/will-bruey/

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