米国最終更新 2026-09-25
Amazonマフィアとは?メンバー一覧・輩出企業・関連書籍
別表記:アマゾンマフィア/Amazon Mafia
Amazonマフィアとは、Amazon在籍時代に築いた人脈を軸に、退社後それぞれスタートアップを興したアマゾン出身者たちを指す通称である。PayPalマフィアほど広く定着した呼称ではないが、報道でも同様の表現が用いられている。
- 起点企業Amazon.com
- 対象の在籍期間1994〜2024年
- 掲載メンバー10人
- 輩出企業7社
Amazonマフィアの主なメンバー一覧
Amazon.comに1994〜2024年の間に在籍し、その後に起業・投資で実績を残した主な人物です。在籍時の役職と、その後の主な創業・経歴を並べています。
| 氏名 | Amazon.comでの役職・在籍 | その後の主な創業・経歴 |
|---|---|---|
| ジェフ・ベゾスJeff Bezos | 創業者・CEO(1994〜2021年)、取締役会長(2021年〜)1994年〜現在 | — |
| マーク・ロアMarc Lore | Quidsi(Diapers.com)CEO2010〜2013年 | Jet.com(共同創業者・CEO)、Wonder(創業者・会長兼CEO) |
| アポルヴァ・メータApoorva Mehta | サプライチェーンエンジニア2008〜2010年 | Instacart(創業者・CEO→会長) |
| ビニー・バンサルBinny Bansal | ソフトウェアエンジニア(バンガロール拠点)2007年 | Flipkart(共同創業者、COO→CEO→グループCEO) |
| クリス・ピンカムChris Pinkham | VP Engineering(EC2開発責任者)2004〜2006年 | Nimbula(共同創業者) |
| ジェイソン・キラーJason Kilar | シニアバイスプレジデント(全社アプリケーションソフトウェア担当)1997〜2006年 | Hulu(創業CEO) |
| サチン・バンサルSachin Bansal | シニアソフトウェアエンジニア(Amazon Web Services)2006〜2007年 | Flipkart(共同創業者、CEO→執行会長) |
| ヴィニット・バララVinit Bharara | Quidsi(Diapers.com)COO2010〜2013年 | Mojo(共同創業者・CEO) |
| ジェシー・ロビンスJesse Robbins | Master of Disaster(Amazonブランド全サービスの可用性責任者)2001〜2006年 | — |
| ナディア・シュラボウラNadia Shouraboura | VP, Global Supply Chain & Fulfillment Technology2004〜2012年 | — |
Amazonマフィアが生んだ企業
メンバーがAmazon.comを離れた後に創業(共同創業を含む)した企業です。
| 企業 | 設立 | 創業に関わったメンバー |
|---|---|---|
| Flipkart2007年にサチン・バンサルとビニー・バンサルが共同創業したインドのEC企業。2018年にウォルマートが株式の過半数を取得した。 | 2007年 | ビニー・バンサル、サチン・バンサル |
| Hulu2007年にNBCユニバーサルとニューズ・コーポレーションの合弁で設立された米国の動画配信サービス。ジェイソン・キラーが創業CEOを務めた。 | 2007年 | ジェイソン・キラー |
| Nimbula2008年にクリス・ピンカムとウィレム・ヴァン・ビルジョンが共同創業した米国のクラウド基盤ソフトウェア企業。2013年にオラクルが買収した。 | 2008年 | クリス・ピンカム |
| Instacart2012年にアポルヴァ・メータが創業した米国の食料品配達プラットフォーム。2023年に米ナスダック市場に上場した。 | 2012年 | アポルヴァ・メータ |
| Jet.com2014年にマーク・ロアーらが創業した米国のオンライン小売企業。2016年にウォルマートが33億ドルで買収した。 | 2014年 | マーク・ロア |
| Wonder2018年にマーク・ロアーが創業した米国のフードデリバリー企業。複数の飲食ブランドを1拠点でまとめて調理・配達する『フードホール』型の事業モデルを展開する。 | 2018年 | マーク・ロア |
| Mojo2021年にヴィニット・バララが創業した米国のスポーツテック企業。アスリートの将来的な実績に投資できる『スポーツ株式市場』サービスを運営する。 | 2021年 | ヴィニット・バララ |
成り立ち
ジェフ・ベゾスは1994年、ニューヨークのヘッジファンドを辞めてシアトルに移り、自宅ガレージでオンライン書店Amazon.comを創業した。同社は書籍から家電・日用品まで扱う総合ECへと急拡大し、2000年代半ばには南アフリカ・ケープタウン出身のクリス・ピンカムが率いる少人数チームが、後にAWSの中核サービスとなるAmazon EC2を開発した。2010年には紙おむつ通販Diapers.comを運営するQuidsiを約5.45億ドルで買収し、創業者のマーク・ロアーとヴィニット・バララをAmazon幹部として迎え入れている。またインドのバンガロール開発拠点には2006〜2007年にサチン・バンサルとビニー・バンサルが在籍し、退社後にEC企業Flipkartを立ち上げた。こうした急成長と事業多角化の過程で多様な人材が育ち、Amazonを離れた技術者・幹部が各分野でスタートアップを興す流れが2000年代後半以降に目立つようになった。
なぜAmazon出身者から起業家が生まれるのか
Amazonは『Customer Obsession』『Ownership』『Bias for Action』など14項目のリーダーシップ・プリンシプルを採用・評価・昇進の基準として徹底しており、少人数チーム(いわゆる『two-pizza team』)が新規事業の立ち上げから収益責任までを一貫して担う文化を持つ。新規事業を仮想プレスリリースとFAQの形式で検討する『Working Backwards』の手法や、通常より基準を厳しくする『バーレイザー』制度を経験した人材は、不確実な環境で意思決定し実行する訓練を積んでいるとされる。また急成長期のAmazonでは、Quidsiのような買収子会社やAWSの新規サービス開発チームなど、独立性の高い事業単位が数多く存在し、そこで裁量を持った人材が退社後もその経験を再現しやすいことが、起業家輩出の一因として指摘される。
出身者どうしのつながり
Diapers.com共同創業者のマーク・ロアーとヴィニット・バララは、Amazon傘下での勤務を経てそれぞれ独立した後も交流を続け、2021年にバララが創業したスポーツテック企業Mojoには、幼なじみでもあるロアーが投資家として参加している。EC2の前身を開発したクリス・ピンカムは、開発チームの同僚だったウィレム・ヴァン・ビルジョンと2008年にクラウド基盤企業Nimbulaを共同創業し、2013年にオラクルへ売却した。インドではAmazonバンガロール拠点で同時期に働いていたサチン・バンサルとビニー・バンサル(血縁関係はない)が2007年に相次いで退社し、Flipkartを共同創業してインド最大級のEC企業に育て上げている。
Amazonマフィアを知るための本
Invent & Wander ジェフ・ベゾス Collected Writings
ベゾス自身が株主への手紙などで綴った経営思想をまとめた著作集。ウォルター・アイザックソンが序文を寄せている。
Amazonで見るジェフ・ベゾス 果てなき野望 アマゾンを創った無敵の奇才経営者
Amazon創業からベゾスの経営手法までを描いたノンフィクション。原題『The Everything Store』。2013年フィナンシャル・タイムズ&ゴールドマン・サックス ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー受賞作。
Amazonで見るジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか
前著『果てなき野望』の続編にあたるノンフィクション。原題『Amazon Unbound』。AWSやAlexaなど事業拡大期のAmazonとベゾスを描く。
Amazonで見るよくある質問
『Amazonマフィア』という呼び方はどれくらい一般的か?
PayPalマフィアやOpenAIマフィアほど広く定着した呼称ではない。ただし、Amazon出身者が創業した企業を紹介するブログ記事『The Amazon Mafia』(getPIN.xyz)や、EC企業fabricの創業者ファイサル・マスードが自社の人材構成を語る際に元Amazon社員を『Amazon mafia』と呼んだとCNBCが報じた例があり、実態に即した呼称として使われることがある。
主なメンバーは?
創業者ジェフ・ベゾスのほか、Diapers.com(Quidsi)を興しAmazon幹部を経てJet.comを創業したマーク・ロアー、同じくDiapers.com共同創業者のヴィニット・バララ、Instacart創業者のアポルヴァ・メータ、Flipkart共同創業者のサチン・バンサルとビニー・バンサル、EC2開発を率いたクリス・ピンカム、Hointer創業者のナディア・シュラボウラ、Chef(旧Opscode)創業者のジェシー・ロビンス、Hulu創業CEOのジェイソン・キラーらがいる。
なぜAmazon出身者から多くの起業家が生まれるのか?
Amazonは『Customer Obsession』『Ownership』などのリーダーシップ・プリンシプルを採用・評価の基準とし、少人数チームが新規事業の企画から収益責任までを一貫して担う文化を持つ。新規事業を企画書とFAQの形式で検討する手法や、高いハードルの採用基準(バーレイザー制度)を経験した人材は、不確実な状況で意思決定し実行する訓練を積んでおり、これが独立後の起業に活きるとされる。
主な出身事業・部署は?
紙おむつ通販Diapers.comを運営したQuidsi(買収後にAmazon傘下)、クラウドサービスAWSの原型EC2を開発したケープタウンのエンジニアリングチーム、Amazon本体のサプライチェーン・フルフィルメント部門、インドのバンガロール開発拠点などが、後の起業家を輩出した代表的な事業・拠点である。
メンバーの人物ページ
ジェフ・ベゾス
1994年にAmazon.comを創業し、世界最大級のEC・クラウド企業に育てた起業家。2021年からは取締役会長。
マーク・ロア
Diapers.com共同創業者としてAmazonに合流後、Jet.comを創業してウォルマートに売却した連続起業家。
アポルヴァ・メータ
Amazonのサプライチェーンエンジニアを経て、食料品配達大手Instacartを創業した起業家。
ビニー・バンサル
Amazonでエンジニアとして勤務後、インド最大級のEC企業Flipkartを共同創業した起業家。
クリス・ピンカム
AmazonでEC2の開発を率いた後、クラウド基盤企業Nimbulaを共同創業した南アフリカ出身の技術者。
ジェイソン・キラー
AmazonでSVPを務めた後、動画配信サービスHuluの創業CEOに就いた米国の経営者。
サチン・バンサル
AmazonでAWS担当エンジニアとして勤務後、Flipkartをビニー・バンサルと共同創業したインドの起業家。
ヴィニット・バララ
Diapers.com共同創業者。Amazon退社後、複数のメディア・スポーツ関連企業を興した連続起業家。
ジェシー・ロビンス
Amazonで可用性責任者『マスター・オブ・ディザスター』を務めた後、Chef(旧Opscode)を創業した技術者。
ナディア・シュラボウラ
Amazonでサプライチェーン技術を統括した後、小売テック企業Hointerを創業した技術者。
出典
- The Amazon Mafia - getPIN.xyz — https://www.getpin.xyz/post/the-amazon-mafia
- Jeff Bezos - Wikipedia — https://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Bezos
- Amazon (company) - Wikipedia — https://en.wikipedia.org/wiki/Amazon_(company)
- https://www.geekwire.com/2013/founders-amazonowned-quidsi-quit/
- https://en.wikipedia.org/wiki/Marc_Lore
- https://en.wikipedia.org/wiki/Apoorva_Mehta
- https://en.wikipedia.org/wiki/Binny_Bansal
- https://www.itweb.co.za/article/amazon-ec2-founder-pinkham-joins-jumo-board/nG98Yd7LbmyqX2PD
- https://en.wikipedia.org/wiki/Amazon_Elastic_Compute_Cloud
- https://en.wikipedia.org/wiki/Jason_Kilar
- https://en.wikipedia.org/wiki/Sachin_Bansal
- https://en.wikipedia.org/wiki/Diapers.com
- https://www.geekwire.com/2012/qa-examazon-master-disaster-jesse-robbins/
- https://en.wikipedia.org/wiki/Jesse_Robbins
- https://formlabs.com/company/press/nadia-shouraboura-joins-formlabs-board-of-directors/
- https://therobinreport.com/hointers-dr-shouraboura-is-leapfrogging-bezos-amazon-into-the-future/
掲載内容は公開情報に基づき編集部が整理したものです。誤りや更新がある場合は訂正依頼フォームからご連絡ください。